出版のお祝い文例・メッセージの送り方

知人、友人、上司が書籍を出版したと知り、
「お祝いの言葉はどのような文面で送ると良いのだろう?」
と考えるあなたに向け原稿を書きました。

出版の知らせを受けたら?

学生時代にお世話になった恩師から、「本を上梓しました」という知らせが届いた。
お世話になった元会社の上司から「回顧談を出版しました」という知らせが届いた。
珍しい経験かもしれません。このような知らせがあなたの元に飛び込んできたら?
慌てず、そして相手に失礼のないよう、出版祝いの贈り物やメッセージを用意しましょう。

メッセージの他に贈り物は必要か?

結論から言えば、ケース・バイ・ケースです。
著者との間柄がビジネスで深い交流がある場合や、出版パーティーを開催する予定がある場合などでは、用意することが一般的でしょう。

贈る場合、高額なものを贈る必要はありません。
お花や食品(お中元等をイメージされると良いと思います。)を3千円~5千円相当を目安に送られるケースが多いです。
詳しくは、出版祝いには何を贈る?をご覧いただくと良いでしょう。

お祝いメッセージの送り方

送り方は大きく分けると3種類になります。

  • 手紙、ハガキ
  • メール、LINE、メッセンジャー(DM)
  • SNS、ブログ(オープンなもの)

親しさの違いや、居住地の遠近、そして普段会う回数によって方法も変わるかと思います。
メールやラインが一般化している今、もっとも早い気持ちの伝達方法はそれらを使うことでしょう。これは、広く普及していますので、失礼にあたることはありません。
著者の年齢や関係性を考慮し手紙やハガキなどでお伝えするケースもあります。より丁寧な方法を考えている場合には、こちらを検討しましょう。

そして最近増えているのが、FacebookやTwitter等でオープンに(誰もが閲覧できる環境下で)お祝いメッセージを送る方法です。
実際に書籍を購入し、その写真と共にお祝いメッセージを送ると良いでしょう。
著者にすると、購入してくれたことに有り難いと感じ、お祝いの連絡をもらえたことに嬉しく思い、広く書籍を周知してくれたことに感謝するでしょう。

ここでは記載しませんが、「電報」という方法もあります。
書籍発売に合わせ、電報が送られてきたという話はほぼ聞きませんので、他の方法が無難でしょう。

お祝いメッセージの文例

それでは、文例をご紹介していきましょう。

著者が目上の方の場合<手紙や書状用>

拝啓
ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。 
この度、「〇〇〇〇〇(著作のタイトルを記載)」のご出版、誠におめでとうございます。先日お送り頂きました御本、早速に拝読させて頂きました。
非常に興味深い内容とその文面の面白さに、あっと言う間に読み上げてしまいました。 
このような素晴らしい世界に触れる機会を与えてくださったこと、このような書籍を手に取ることが出来たことに、大変感謝いたしております。
まずは書中をもって出版のお祝いを申し上げます。
末筆ながら益々のご健勝を心よりお祈りいたしております。
敬具

やや親しい知人<メールやラインなど>

この度は出版おめでとうございます。
早速、作品を拝読させていただきました。
(本の簡単な感想を少し入れて・・・)、次回の執筆も楽しみにしています。
今後のさらなるご活躍とご多幸を心よりお祈りいたしております。

出版パーティーへの招待状が届いたとき

出版パーティーを著者が近々開くようであれば、出版の祝辞や、本の感想は直接その時に言いたいですよね?するとお祝いメッセージもそれを前提に少し変えてみても失礼にはあたりません。以下が文例となります。

先日はご丁寧なご挨拶とご招待有難うございました。
〇月〇〇日に、出版パーティーを開催されるとの由、ご盛会を心からお祈り申し上げます。
是非とも出席してご祝辞を述べたく存じますが、その前に嬉しさのあまりペンをとりました。略儀ながらまずは書中をもってお祝い申しあげます。
当日はお目にかかることを何より楽しみにしております。

お祝い文の鉄則

著者との普段の関係や、距離感、親しさの度合いなどでその表現は変わりますが、一番重要なことは「お祝いの気持ち」と「本を読んだ感想」をしっかりとメッセージに入れ込むことです。極端に言えばこの2つがしっかりと、きちんと伝わる内容であれば、形式や表現方法にこだわる必要はないと言ってもいいです。
本を出版した人間にとっては、本の感想や励まし、そして労を労う言葉は何よりも嬉しいもの。それはもし立場が逆になれば十分想像できるものでしょう。
ただし、すぐには読む時間が取れず、お祝いの連絡が後回しになっては本末転倒です。特にSNSでメッセージを送る(オープンな場で)場合には、「本が届いたこと」の報告と「お祝いの気持ち」を伝える形でも失礼にあたりません。

出版と上梓の違い

さて、少し余談となりますが、このような祝辞やメッセージで一番気を使うのが「謙譲語」の使い方ですね。「ご出版」というのが正しいのか?「出版のご記念」というのが正しいのか?「ご上梓」と言った方が失礼にならないのか?なかなか身近でない世界の言葉ですから神経を使うところです。

結論から言いますと、「出版」にも「記念」にも「ご」などの特に謙譲語を用いる必要はありません。「ご出版記念」でも「出版のご記念」でもどちらでも構いません。

また、「出版」と「上梓」についても同様です。もともと出版という世界は、「印刷物を刷るための版を作る」ということを表すので、全般的に版を作る言葉が「出版」、そして古来中国ではその版を「梓」という木を用いたことから、「梓にのぼす=版を作る」という意味で上梓という言葉が使われていただけです。

何か学術・論文の書籍は「上梓」という言葉を使い、実用書やノウハウ系の書籍なら「出版」という言葉を使うというような雰囲気がありますが、どちらを使っても構いません。

まとめ

書籍を著す(出版する)という行為は、何よりも人間らしい、非常にクリエイティブで崇高な行為です。その成果物である「本」があなたの目の前にあり、その著者があなたの知人であり、友人であるのなら、それはあなたにとって有意義で幸せなことです。是非その気持ちを著者と共有してください。その「共有する時間」が、著者への最大の祝辞となるでしょう。