よくメディアで聞く出版不況とは何でしょうか?
読んで字のごとく、出版業界の市場規模が縮小し、各社の経営状況が芳しくないことを表しています。このような言葉が生まれてしまうほどに昨今の出版業界は不況を迎えています。
目次
市場規模は縮小
はっきり言ってしまえば、雑誌や書籍が売れないということです。
出版業界の2016年の売り上げは1兆4,600億円。前年に比べ4.0%減少しているとのこと。
この中には学校や団体が使用する教科書などの教材は含まれていません。
日本の出版業界の最大売り上げ年は1996年だと言われていますが、この翌年から売り上げは下がり続けています。
主な理由としては、活字離れや少子化、スマートフォンなどによりインターネットがより身近になったことから紙媒体の本離れが進んでしまったことではないでしょうか。
活字離れ
活字離れという言葉ももうすっかり聞きなれたものになってしまいました。
本来活字離れとは「紙媒体」で活用されている文字から離れているという意味であり、電子書籍で本を読むことも活字離れの理由の一つです。
日本では識字力の低下は見られませんから、活字離れの主要因は、Webサイトや電子書籍によるものが中心だと言えるでしょう。
雑誌が売れない
出版不況はインターネットの普及により雑誌が売れなくなったことが大きな要因だと言われています。
2015年から2016年の1年間を比べても電子書籍市場が30%も増加したことも理由の一つではあると思いますが、そもそも雑誌を「買う」という習慣がなくなってしまったように思います。
今や欲しい情報は何でもネット上で手に入る時代。
スマホ世代の若い子たちは雑誌から得るべき情報は、全てネットで代替しているのかもしれません。
すると雑誌を買うメリットをどこに見出したら良いのでしょうか?
昨今の雑誌はメインの雑誌よりも付録に力が入っており、それはそれで魅力的な戦略だとは思うのですが、これでは雑誌代よりも付録代を払っているのでは?とすら思えてしまうことも少なくありません。
2015年にはティーン向けのファッション誌、「CUTiE」「Gina」「ピチレモン」が休刊となり、雑誌の中でもトップの売り上げを誇る週刊誌は独自のスクープ合戦で頑張ってはいますが、販売部数は伸び悩んでいるようです。
刊行数は増加
出版不況で出版社が編み出した策、それは新書を増やすことでした。
昔に比べ出版部数は減ってしまいましたが、出版数(作品数)を増やすことで売り上げ数を保っていました。
出版不況の始まった1996年以降出版点数だけを見れば、前年より出版部数が下回った年は片手で数えるほどしかありません。
作家さんにとっては、1タイトルあたりの売上が伸びづらく、実売部数が伸びづらい環境であると言えるでしょう。
印刷会社、書店への影響
販売部数(実売部数)が減少している現状、印刷会社にも影響は及んでいます。
そして当然、書店も不況のあおりを直に受けてしまっていることは明らかです。
大手チェーンの書店は、店内にカフェスペースや読書スペースがあるお店も出てきました。ネット通販の躍進、物流網の発達に加えての出版不況で、厳しい状況は続くものと予測されています。
今や立ち読み客にハタキを向ける店員はいないのでしょう。それはそれで一つの時代が終わってしまった気がして非常に残念です。
最後に
最近レコードがまた流行りだしたという話を聞きました。
「大きなレコード盤に針を落として音を流す。」
電子書籍の普及は凄まじいものがありますが、いずれ書籍でも同じようなことが起きるのでしょうか?
参考:2016年版 出版社経営総監(矢野経済研究所)