「格付分析の教科書」を発売


著者名:久保田穣
ジャンル:投資・金融・会社経営
発売日:2021/11/30
販売ページ:Amazon

書籍概要

金融市場で投資家や市場関係者によって利用されている信用格付。債券や社債の発行体やそうした金融商品の信用力を測る記号として浸透しており、格付という言葉は一般的にも普及しています。しかし、信用格付の詳細な意味や考え方は意外と理解されていない部分があるのではないでしょうか。

信用格付に関する説明は格付会社のホームページや公表資料を丁寧に読むことで、ある程度は知ることもできます。とはいえ、格付会社が公表している多数の資料を個別に丹念に熟読するには多くの労力を要します。また、格付会社が複数存在するため、各社で少しずつ異なる用語やアプローチの共通点と違いを整理して横断的に把握するのは決して容易なことではありません。

本書は、こうした信用格付に関する概念や考え方を図表も活用してできるだけ多くの方々に理解していただくことを目的としています。これまで格付の金融市場での指標やデータとしての利用方法や金融市場に与える影響を題材として取り上げた本や、格付に関する歴史についての文献は幾つか存在していますが、格付分析に関する考え方が詳細にまとまった書籍が一般的に紹介される機会は少なく、その意味で本書は信用格付の考え方の基本書であると言えるでしょう。

銀行、証券会社、保険会社、ファイナンス会社等金融業界で信用格付に関わる方、信用格付を取得する企業に勤務する方(経営層、企画・IR・財務など管理部門の方)、その他一般で信用格付に関する体系的な基礎知識を取得したいと考える方におすすめの一冊です。

目次

1.格付の基本的な考え方
(1) 格付の基本的な概念
(2) 発行体格付と債券(個別債務)格付
(3) 自国通貨建格付と外貨建格付
(4) 長期格付と短期格付
(5) 格付の見通す期間と格付遷移

2.格付付与のプロセスとモニタリング
(1) 格付付与のプロセス
(2) 格付のモニタリング
(3) 格付の取り下げ

3.発行体格付の一般的な評価方法
(1) 格付各社の発行体格付方法のフレームワーク
(2) 事業リスクの評価
(3) 財務リスクの評価
(4) M&Aと格付
(5) ESGと格付
(6) ソブリンを超える格付

4.発行体の特徴による発行体格付の留意点
(1) ソブリンや地方自治体の発行体格付
(2) 政府系機関の発行体格付
(3) 金融法人の格付
(4) 事業会社と金融法人の格付方法の違い
(5) 総合商社の格付

5.企業グループの格付
(1) グループ信用力という考え方
(2) グループ内の親会社/持株会社の格付
(3) グループ内の子会社の格付
(4) 金融と非金融の複合事業を営むグループの評価
(5) キャプティブファイナンスを有するグループの評価

6.個別債務格付のノッチング
(1) ノッチングの一般的な考え方
(2) 担保付(含む一般担保)債務と無担保債務のノッチング
(3) ハイブリッド証券を含む劣後債務のノッチング
(4) 構造劣後性による持株会社の個別債務格付のノッチング
(5) 金融機関のハイブリッド証券のノッチングに関する補足

著者紹介

1968年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、株式会社富士銀行に入行。ノースウェスタン大学LL.M.修了後、ニューヨーク州弁護士登録。米州営業部で非日系法人担当や証券化業務に携わった後、ムーディーズ・ジャパン株式会社に転職。ストラクチャード・ファイナンス部門のシニア・バイス・プレジデントを経て、金融機関部門のマネージング・ディレクター兼同部門責任者として、銀行・証券・保険・ノンバンク・総合商社等の格付委員長を務める。その後みずほ証券株式会社でのシニア格付アドバイザー業務等に従事したのち、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社で、事業法人格付部長として同部門および格付委員会を統括。現在は、大和証券株式会社の上席審議役として、事業会社、金融機関、公共法人等の発行体を対象としたクレジット・アドバイザリー業務に従事。