「働き方改革の処方箋」を発売


著者名:中村 慎一
ジャンル:ビジネス・経済
発売日:2021/11/8
販売ページ:Amazon

書籍概要

時代は平成から令和に移りもう3年になります。日本の新たなステージ であり、日本経済は長らく続いた低迷期を脱し、着実な成長に向かわねばなりません。そのためにも、「働き方改革」は必須の取組みで、コロナ禍をむしろチャンスとして官民あげて働き方改革を力強く推進する必要があることは論を待ちません。ただ、働き方改革の各種施策や取組み方を見てみると、どうしても日本の政治施策にありがちなネガティブな側面が見えてきます。また、新型コロナ対応のなかで、日本企業も働き方を変えていくチャンスであるにも関わらず、その取組みに本腰が入っているとはいえない状況です。

働き方改革で必要なのは、「改革」レベルではなく、新たな価値を生み出し、我々が新しいステージに移行すること、すなわち「変革」であり「進化」です。この概念を確りと念頭に置かねば、同じ轍を踏むことになるでしょう。 いまだに出口が見えないコロナ禍のなかでは、既存の考え方ややり方では打開を図ることが難しいことは、こ の1年半を通じて強く認識される事実です。とくに、 働き方改革を実際に実現するのは企業であることを考えると、おのおのの企業が本腰を入れないと、働き方を変えていくことはできません。 本書では、この問題意識をベースに、あえて「働き方変革」という言葉 を使い、「新しい就業モデル」「新しい勤務モデル」「新しい人材マネジメ ントモデル」の3つのテーマで処方箋を提示します。

1. 新しい就業モデル
「就業」については、これまではどうしても「就社」の色彩が強い傾向がありました。いわゆる「メンバーシップ型雇用」です。この傾向のなかでは、正社員として就社することが理想で、「正規」・「非正規」の区別もこの前提があってのものです。「正規」雇用労働者が前提 となると、一日8時間労働、週休2日が基本となり、この条件を満たせな い労働者は、低い処遇を甘受せざるをえないか、そもそも社会に出て働くこともままならないことになります。 働き方改革のもと、政府は非正規雇用労働者の処遇改善に乗り出しまし た。ところが、そもそもの「就業(雇用)のあり方」を新しくしなければ、 コロナ禍で民間サイドのコスト削減要請が高まるなかでは、政府の施策も 無力に陥る懸念があります。実際、コロナ禍で、多くの非正規雇用労働者 が職を失っています。 したがって、新しい就業モデルは、「多様な就業形態」「多様な人材の活躍」 「労働市場の活性化」の3テーマをセットで検討する必要があり、その処方箋を提示します。

2. 新しい勤務モデル
「勤務」というと、労働時間に焦点が当たります。これは、 依然として、長時間労働が横行する実態があることからですが、長時間労 働の排除は、労働者の生活、健康を守るためのミニマムの要請であり、働 き方改革以前の次元です。 「ワーク・ライフ・バランス」が提唱されてかなりになりますが、勤務モデルについては、この理念に則って施策化することが必要です。育児、家事、介護負担で働きに出ることができない人々が多いことを考えると、勤務が適正化されれば、雇用も改善することになります。さらに、コロナ禍の対策として、テレワーク、とくに在宅勤務が一挙に 広まり、そもそも出社して働くことが必要なのかを考え直す時期に至っています。こう考えると、時間のみならず、場所や執務スペースといった環境要素も重要な検討テーマとなります。さらに環境のみならず、そもそも の業務をどう効率化するかの検討も不可避です。 したがって、新しい勤務モデルは大きく、「時間」「環境」そしてそれ らを裏打ちする「業務の効率化」をテーマに検討することが必要で、その処方箋を提示します。

3. 新しい人材マネジメントモデル
「人材マネジメント」は、給与などの処遇、処遇を具体化する人材評価、そして人材開発のための施策を含みます。処遇水準が向上し、適正な評価が実施されれば、労働者のモチベーションが高まり、生産性の向上が期待されます。これまで非正規雇用労働者と位置づけされていた労働者の処遇改善も、同じ効果を狙うものです。労働者の能力・スキルの開発やキャリアの開発に向けた施策の実施も、モチベーション向上に寄与するでしょう。これまで職に就いていなかった 若者なども、職に就く意欲を高めてくれるかもしれません。 したがって、新しい人材マネジメントモデルは「処遇」のみならず、「人材評価」「人材開発」にも焦点を当てて展開されなけらず、その処方箋を提示します。

著者紹介

中村 慎一
滋賀県出身。
京都大学法学部卒、イリノイ大学ロースクール LLM 修了。
都市銀行に入行後、調査、人事、オペレーション、リテールビジネス、ウェル スマネジメント各分野の企画、業務推進を経験。
支店経営を経て、アジアでの デジタルバンキング立上げ、現地法人ガバナンス職務、上場企業構造改革に従事。
現在は人材関連会社の経営に従事中。
著書に、「サラリーマンの大義と企業の責務」(2019 年文芸社)、「人的資源マネ ジメント概論」(2020 年 POD 出版サービス)、「変革の処方箋」(2021 年日本橋出版)、
翻訳に、「銀行と銀行持株会社の資本市場業務ガイド」(1989 年)がある