書籍タイトル:医療40兆円の無駄
著者名:加藤正則
ジャンル:医療、経済
発売日:2020/9/21
販売ページ:Amazon
作品概要
増大し続ける国民医療費。1年間の医療費はついに40兆円を超えた。国家予算の中で最大の支出であるにもかかわらず、その中身についてはほとんど知られていない。「医療費亡国論」は現実化しようとしている。医療費をはじめとする社会保障費が急激に増大。そこに少子高齢化社会が加わり、日本国は歴史上、最大の危機を迎えている。社会保障費をこのまま放置すれば、日本は近い将来、必ず破滅する。この危機を避けるにはどうすればいいのか。
日本には「国民皆保険制度」があり世界有数の医療大国、社会保障優遇国となった。しかし国民皆保険制度の当初の理念、「誰もが望む医療を貧富の差がなく誰でも受けられる医療」とは掛け離れた医療になっている。なぜか。国民皆保険制度は市場原理が働かないシステム、制度になっているからだ。病院で貰う風邪薬の方が、薬局で買う風邪薬より安いのはなぜか。勤務医は激減し過労死寸前で救急医療は崩壊の危機なのに、街中にクリニックが溢れているのはなぜか。クリニックは揃いも揃ってなぜ日曜日に休診するのか。日本医療の制度疲労について解説する。そして同時に一般経済活動と異なる医療の特殊性についても解説する。
これまでにも様々な医療費削減案が提案されてきた。しかし、それらのいずれも姑息的な方法であり、根本的な解決には至っていない。例えば、医療費のうち医療提供者の報酬である診療報酬を一律に下げるというもの。これにより確かに医療機関に払う診療報酬が減り、国が負担する医療費をいくらか削減できるかもしれない。しかし、診療報酬を一律に下げれば、救急医療など国民の生命に直接、関わる医療まで、人材、機器、医療機関と、すべてが縮小され消滅するという危機的状況を招きかねない。国民皆保険制度の理念である「誰もが望む医療を貧富の差がなく誰でも受けられる医療」から掛け離れた医療費削減案が多いのだ。そして、これらの削減案はどれも根本的な解決法ではなかった。国民医療費が年々、増加の一途を辿っていることから明らかである。
医療制度改革に必要なもの。それは理念と事例研究である。
逆に言えば、これまでの医療費削減案は、理念も具体的な事例も示されないまま提案されてきた。だから議論できないし、根本的な解決法にはなりえなかったのだ。医療費のうち医療提供者の報酬である診療報酬を一律に下げるという医療費削減案の理念は一体、何なのか。そしてそうすべきであるという根拠となる具体的事例はあるのだろうか。いずれも明確なものはないだろう。
医療現場から3つの具体的な事例を紹介した。そして無駄な医療であると断言した。老人医療における過剰な延命処置、精神科医療における異常な長期入院、そして医療提供者側の役割分担の不明瞭さと重複医療である。いずれも国民皆保険制度の理念から掛け離れている。これらに対する具体的な改革も提案する。
医療費の無駄は10兆円もあった。
医療費増大、社会保障費増大をこのまま放置すれば近い将来、必ず日本は破滅する。だから「医療40兆円の中にある無駄」を指摘し、社会保障制度改革を提案した。医療費の無駄は10兆円もあったのだ。
節約した10兆円でできること。それは全世代型社会保障である。日本で生まれたすべての日本人ベビーに100万円を贈ろう。保育園は全員、入ることができる社会にしよう。教育と研究に国費を投じよう。人材こそが日本の宝である。そして日本医療は世界一となり、医療と平和で世界に貢献できる。
輝き続ける日本になる。
著者紹介
加藤正則
専門医のライセンスと洗練された医療技術で高度医療を担う臨床経験豊富な現役医師。医療現場で、様々な矛盾を抱える医療制度や医療経済を学ぶ。
これまでに英文論文を含む多数の医学論文を執筆。
満を持して挑む医療経済論。
令和の時代に必要な医療経済学を提案する。