ビジネス書を出版する方法と流れ、代表的な出版社一覧

ビジネス書の出版、出版社についてを本記事では取り上げます。
業界のお話やビジネス書を出版するまでの流れなど、ご興味ある箇所をぜひご覧ください。

ビジネス書に含まれるジャンル、テーマ

ビジネス書のジャンル・テーマに含まれ、よく出版されるものを以下にまとめました。

  • 経営
  • 戦略
  • マーケティング
  • イノベーション
  • 組織
  • リーダーシップ
  • ビジネススキル
  • 人生論

たとえば、経営のジャンルのビジネス書では、経営に関する原則や考え方、事例などが掲載されています。マーケティングのジャンルであれば、マーケティングの手法や理論、具体的な実例などが紹介されているでしょう。

ただし、ジャンル・テーマについては決まったルールがあるわけではありません。少しでもビジネスに関係があるならば、どのようなジャンル・テーマであってもビジネス書として成立します。たとえば、人としてどのように生きていくべきかといった人生観や思想に関する書籍であっても、ビジネス書の範疇に含まれると考えることが可能です。

会社員や経営者などが実際に本を読んで、日頃の仕事やビジネスに活かすことができる情報や発想を得られるような本であれば、ビジネス書といえるでしょう。

ビジネス書を出版する方法

ビジネス書を出版するための方法について、各方法と費用の目安を紹介します。

商業出版

商業出版とは出版社が主体となってビジネス書を出版する形式です。出版社が書籍という商品を作り、これを売って儲けるビジネスモデルが商業出版とも言えるでしょう。

商業出版の場合は、出版に必要なすべての諸経費を出版社が負担し、編集やデザイン、印刷、流通なども出版社が担当するのが特徴です。商業出版によって出版された本が売れれば、著者は印税を受け取れます。

商業出版の場合は、出版社がプロモーション活動や営業活動も担います。
人気の出たタイトルでは、サイン会や読者との交流会といったイベントの企画を行う場合もあるでしょう。

商業出版でビジネス書を出す場合は、原則、費用負担をする必要がありません。契約条件次第では、初版の印税率が低い(または無い)場合や、広告宣伝費の実費負担、一部書籍の買取がつく場合があります。
(昨今のビジネス書市場は右肩下がりであるため、各社厳しい状況が続いているようです。)

商業出版では出版社側が主体となって書籍を出すため、著者がすべてを決定できない点に注意しましょう。商業出版では、出版社が本の売上を伸ばすことを重視するため、著者の意向がすべて反映されるわけではありません。

企業出版

企業出版とは企業がブランディングのために書籍を出版することです。企業出版は利益を求めて本を出すわけではなく、企業の考えや特殊性、優れた点などイメージを読者に伝えて、企業のファンにすることを目指します。コーポレートサイトやCMなどとは異なるメディアを利用したブランディング手法であり、企業出版に取り組んでいる企業は多いです。

企業出版と商業出版の大きな違いは誰が主導権を持っているかです。商業出版では主導権が出版社側にあり、企業出版ではあくまでも企業に主導権があります。また、制作費については、企業出版では企業が費用を負担する点が大きな違いです。

読者視点では企業出版と商業出版に違いはありません。そのため、企業出版したからといって、企業のブランディング効果が薄れることはないでしょう。企業出版によって、集客や採用などで一定の効果を期待できます。

企業出版を行うための費用は、すでに執筆が完了していることを前提として、出版社に依頼する場合、すべての費用を合計して200万~1,000万円程度かかるケースが多いです。

自社制作

ビジネス書を完全に自社制作で出すという選択肢があります。自社制作の場合は、原稿の作成だけではなく、編集やデザイン、印刷、流通、マーケティングなどもすべて自社で行わなければいけません。これまでに書籍出版をしたノウハウと人材がなければ、自社制作で対応するのは難しいでしょう。

自社制作する場合はすべての費用を自社で負担することになります。相場としてはデザイン費に20万円程度、加えて印刷製本の費用がかかると考えましょう。

ビジネス書を代筆してもらい出版するには

ビジネス書の原稿を自社で作成できないならば、ライターに依頼することになります。ビジネス書の代筆に対応できるライター、書籍ジャンルに合ったライターを探しましょう。

ライターの探し方としては、自身の知り合いを経由して見つけるか、出版社に探してもらうという方法があります。出版社から紹介してもらったライターの場合は、これまでに代筆の経験が豊富にあり、信頼できる人物を見つけやすいでしょう。

ライターに代筆を依頼するためには執筆料を支払わなければいけません。また、ビジネス書を出版する際の初版印税や重版印税も決める必要があります。たとえば、執筆料として80万円、印税を4%に設定するというケースです。

ビジネス書の代筆の相場は、本の分量や文章の質、ライターのランクなどによって大きく変わります。10万字程度のビジネス書の原稿を依頼する場合は、80万円程度の執筆料が相場になるでしょう。印税の設定としては、3~7%程度が相場となっています。また、執筆料に加えて、交通費や資料費などの実費の支払いも発生するでしょう。

著者が非常に著名な方や、ベストセラーの実績をお持ちの方であれば、出版社がライターをたて、代わりに書き進めるケースはあります。しかし、過去に実績のない方や売上の予測がつかない著者の場合、出版社がライターをたてるケースはあまり聞きません。(この場合、出版社がライターへの報酬を支払いますが、印税は全体の印税からライター分を除いた率が著者の取り分になります。)

ビジネス書を出版するまでの流れ

ここでは一般的な商業出版における、ビジネス書が出版されるまでの流れをご紹介します。

  1. 企画を整理、目次づくり
  2. 出版社への持ち込み
  3. 出版社と契約
  4. 執筆、編集
  5. 組版、デザイン
  6. 最終校正
  7. 印刷製本
  8. 書店営業、販促準備
  9. 取次への見本出し、部決
  10. 配本、販売開始

企画を整理、目次づくり

出版社に持ち込む前に企画を整理して、目次を作成しましょう。
出版社として知りたいことは、「どの程度の売り上げが見込めるか」です。企画を整理する際には、対象読者がどの程度いるか(池の大きさ)、類書で売れている作品、なぜ今このテーマなのか(話題性や時流)、類書との差別化ポイント(埋もれないのか)、著者のプロフィールは企画書にまとめられると良いでしょう。

出版社への持ち込み

まずは数社と気軽に打ち合わせをしてみることが大切です。
多くの出版社は繋がりのある編集者経由、紹介経由でお話を聞いてもらうことになるかと思います。繋がりがない場合には、企画や原稿を受け付けている出版社に相談しましょう。

出版社ごとに雰囲気や得意不得意も異なります。ご自身の考え方に合う出版社を探す点でも数社とお話しすることは良いでしょう。

出版社と契約

出版社内の企画会議でGoが出ると、契約条件等の詳細を相談し契約に進みます。
仕組みが整備された出版社では、契約書を結びます。少数ですが、出版業界特有の口約束だけで進める出版社も存在します。しゅ
ビジネス書の著者であれば、契約についての知識をお持ちだと思いますが、出版特有の内容を少し補足します。

一つ目は、印税のお話です。正式には著作権使用料や著作物利用料と呼びます。出版社によりまちまちで3%から12%程度まで幅があります。本来は著者と出版社間で印税率について議論や交渉がなされる姿が正常だと思いますが、実態としては交渉して条件が変わることは稀です。
二つ目に、内容保証についてです。転載などによる他者の権利侵害がないことを著者は保証してくださいという内容で、これはほぼ100%の出版社で含まれる項目です。
最後に、利用の制限についてです。書籍にした内容を他所で利用禁止という内容ですが、ビジネス書の著者であれば、類似する内容をセミナーなどで話すことも多いでしょう。契約書で禁止とする範囲は確認されると良いと思います。

執筆、編集

ご自身で原稿を作る場合には執筆作業を、外部ライターに代筆を委託する場合にはライターの選定に着手します。(ビジネス書に限らず、持ち込み企画の原稿は著者が書きあげるが原則です。)
出版社へ持ち込む段階で、八割方書きあがっているケースも多いため、ここでは出版社とのコミュニケーションをもとに、加筆・修正・推敲を進めます。

組版、デザイン

原稿が書きあがると、著者は一息つけるタイミングです。出版社は本文ページのレイアウト案を作成します。注釈の多い原稿や図解本では、レイアウトを数案作成し、読みやすさを著者に相談する場合があります。

組版が終わると校正の工程へ進み、著者へ確認依頼が入ります。(入らない場合もあります。)
並行し、表紙やカバーのデザインが進行します。仮の書名で進んでいたものがこの時点で確定します。サブタイトルやキャッチコピーなどは出版社主導で進むケースと著者との相談で進むケースと様々です。

最終校正

印刷所への入稿前、最後の印刷用データ確認作業です。
ここまでの校正で赤入れした箇所が正しく修正反映されているかなどを確認し、問題がなければ「校了」と呼ぶチェック終了段階となります。

印刷製本

説明するまでもないですが、印刷用データを用いて印刷所が印刷、製本所が製本を進めます。ビジネス書に多い並製本であれば、最後にソフトカバーと帯をつけて書籍は完成です。

書店営業、販促準備

出版社は書店に対し、新刊をご紹介し、ご注文をいただけるよう営業します。書店へ伺い、ビジネス書のご担当者様とお話することもあれば、書店出版社間ではFAXが利用が多いことから、FAXでご案内と注文書をお送りすることもあります。
Web上でのPR文章、書店用POPの作成などもこの時期に作業します。

取次への見本出し、部決

書店からの注文部数をまとめ、出版社としての希望部数と共に見本出しをします。(取次店へ実際の完成書籍を見本として持参し、何部仕入れてほしいと依頼する工程です。)
全てが希望通りになるわけではなく、取次店がその書籍を総合的に見て、仕入れする冊数・書店へ配本する冊数を決定します。
これを取次各社(日本出版販売・トーハン・楽天ブックスネットワーク:旧大阪屋栗田・図書館流通センターなど)に対し行います。

配本、販売開始

発売日の数営業日前、部決(各取次店が決定した仕入れ部数)にあわせて、各社倉庫へ書籍を搬入します。在庫は各取次店から書店へと配本され、書店の倉庫・書棚に展開されます。

以上の流れでビジネス書は完成し、書店で販売されます。
売上次第では、追加でプロモーションをすることもあれば、重版されることもあるでしょう。

ビジネス書は年間何タイトル出版されているか

1年間に日本で出版されている書籍タイトルは約7万タイトルとされています。(総務省がまとめる、2022年の日本統計年鑑では66,885点です。)
このうち、ビジネス書というカテゴリで分類された数値はありません。
これはビジネス書の定義が曖昧であり、先の分類でいう「社会科学、工学工業、産業、語学」にビジネス書以外と混ざって集計されています。

この4分類の刊行点数は20,534点です。ビジネス書の年間タイトル数は、多ければ20,534点、実際は半数程度の1万点ほどと言えるでしょう。

ビジネス書を扱う出版社

ビジネス書を扱っている出版社は非常に多く存在します。その中の一例として数社の出版社を下記に記載します。

  • 日本橋出版
  • 日経BP社
  • 東洋経済新報社
  • ダイヤモンド社
  • プレジデント社

日本橋出版は東京都中央区にある出版社で、ビジネス書分野の出版を中心としています。(当サイト運営)

日経BP社は日本経済新聞社の子会社であり、雑誌と書籍の出版を行っています。多くの雑誌メディアを扱っており、ビジネス関連の雑誌が多いのが特徴です。日経BP社からはベストセラーのビジネス書が多数出ています。

東洋経済新報社はビジネス書や経済書の発行を専門的に扱っている出版社です。1895年に設立された歴史のある出版社です。

ダイヤモンド社はビジネスや経済に関する書籍や雑誌を出版してきた出版社です。1933年に設立されました。

プレジデント社はビジネス雑誌の刊行やビジネス書の出版を行う出版社です。創立したのは1963年であり、海外提携紙のプレジデントを創刊したことで有名です。

まとめ

ビジネス書という切り口で出版の流れや出版社のお話をまとめてみました。
ビジネス書を出版しようとお考えの方に、少しでもお役立ていただけると嬉しいです。