皆さんの中で出版パーティーに参加された方はどれぐらいいらっしゃるでしょう?
イメージとしては華やかそう。だけど、集まっている人はかなり業界の中の閉じた世界?自分などは縁遠い?そんな印象でしょうか?
そんな身近なようで少し遠い世界の出版パーティー。今回はそんな出版パーティーについて解説していきましょう。
目次
出版パーティーとは?
出版パーティーとは、「自分の著書が無事出来上がったということを報告する会」というのが最も一般的なものです。
パーティーの主役である著者としては「是非、この著書を多くの方に宣伝してもらって、出来れば買ってもらって、出来れば読んでもらって、出来ればその読後の感想なんてものを聞かせて欲しい」というのが本音です。
ただ、それではあまりに商業的となってしまうので、パーティーの主旨は、著書が出来上がるまでの思いや苦悩、またエピソードなどを交えて、「ようやく本が出来上がるというところまで辿り着きました。その感謝の意味を込めてここに皆さんにお集まりいただき、感謝の意を表します」となるでしょう。
出版パーティーの式次第は?
一般的な出版パーティーの進行、式次第は次のとおりです。
- 司会者の挨拶
- 来賓(関係者)からの祝辞
- 著者の挨拶
- 乾杯(の音頭)
- 歓談(ここで名刺交換や、挨拶回り、或は仕事の話などを少々交えながら、巡回する著者との挨拶や談笑の時間)
- 著者・関係者の謝辞
- 閉会の挨拶
- (場合によっては)記念撮影
出版パーティーは、いつ開催するの?
では、出版パーティーはいつ開催されるのでしょう?そして誰が開催するのでしょう?
まず開催するタイミングですが、これは「本が出た直後」か「本が出る直前」というのがベストです。何故なら本というものには実は「鮮度」というものがあるからです。
著書の内容が特にノウハウものであったり、近未来を予測するものや、現代社会の課題解決というような題材であれば、その内容が一番輝くとき、つまり「旬」を逃さないタイミングが最も重要になります。
もちろん、題材が文学ものであったり、論述ものであったりしても同じです。出版パーティーというわけですから、基本は「こういう本が出来上がりました。是非一度お手にとって読んでみてください」という告知メッセージを発するために開催することになります。そうなると必然的に本が上梓される直後か直前となります。
出版パーティーは誰が開催するの?
出版パーティー自体の主役は著者であることは間違いありません。ですが、主役が著者だからといって、出版パーティーの開催者がその著者であるとは限りません。
それは出版パーティーのもう一つの重要な意味、役割を考えると理解できます。そもそも出版パーティーというものは、「本が出来上がったご報告」という意味あいと同時に、「本が出来上がったお祝い」という意味も持っています。
例えばホテルの会場で華々しく開催されて、大勢の人たちが来賓される出版パーティーもあれば、少し身内感覚で、どこかのレストランを貸し切って開催されるという出版パーティーもあります。後者などは、著者本人が開催するというよりは、「有志が集まって、著者にお祝いを言おう」という目的で開催されるものだといえます。
そうでない場合は出版パーティーの開催者は、著者の上梓を祝う立場の人、例えば出版社側とか、編集者側などがそれにあたります。
一つ例外があります。著者自身が開催する場合です。
その代表的な例は「会社の社長、経営者が自伝を出版する」というような場合です。これはおそらく人生で一回限りの本ですから、どちらかというと、記念の意味で「是非皆さんにお集まりいただき、お礼を言いたい」という主旨のパーティーになります。そうなれば著者自身が開催する方が自然と言えるでしょう。
また、もう一つ著者自身が開催する場合では「出版セミナー」のような形をとるパーティーの場合です。例えば講師業の方や士業の方、あるいはコンサルタント系などのノウハウを提供するような方が、自分のノウハウが詰まった本を出版するようなときには、誰かに開催してもらうというよりは、自分自身で、自分自身をプロデュースする場所として出版パーティーを開催している場合が多いはずです。
このように、その著者の立場や成り立ち、そして本が出来上がる理由やその中身によって、開催する人が違ってきます。
出版パーティーを開く目的は?
今まで説明してきたように、出版パーティーを開く目的は「報告」であり「お礼」であり「お祝い」であると説明してきました。ですが、これが形式上の目的だとすれば、本来の目的が別に存在しています。それは次の4つにまとめられるでしょう。
1.人脈形成
出版パーティーのメインタイムは、会の途中にある「歓談タイム」です。
著者に会うために出席してきた者同士の交流や情報交換、また紹介や時によっては軽い仕事の打ち合わせなどの会話がなされます。出版の世界に生きる人たちの人的ネットワークがここで構築され、強化され、そして拡がっていきます。業界の人間だけではなく、その関係者すべての人たちにとって、この重要な時間を過ごすのが出版パーティーに出席する非常に大きな目的の一つです。そしてそれはもちろん著者自身も含まれます。
2.ブランド構築
華やかな出版パーティーを開くことによって、その本の内容やパーティーそのものを、ニュースとしてリリースしてもらうというのも大きな目的となります。ただ単に、この日に集まっていただいた人たちだけに本を告知するのではなくて、出版したこと、その事実を別の情報ツールに載せて拡散してもらいたい・・・ニュースとして流して欲しい、宣伝して欲しいという目的です。著者が有名になればなるほど、この要素が強くなります。
3.販促の材料つくり
本を多くの方々に買っていただく、知っていただくためのパーティーですから、今後の本の販売促進のためには、この出版パーティーの内容や雰囲気、映像は非常に有効な広告素材となります。
著者自身がそれほど有名ではなくても、関係者として出席している華やかな人達を前に本を紹介する著者の写真、自信に溢れる表情で著書を紹介する著者の映像、高名な人や影響度の大きい来賓の著者への祝辞の数々などは、今後の著者の販促活動、広告宣伝の非常に大切なプラスとなります。その画像や映像をこのパーティーで入手するのは、隠れたパーティーの目的となります。
4.本当の記念
1の人脈構成、2のブランディング、3の広告材料の入手というのはどれもビジネス視点の目的ですが、この「本当の純粋なる記念」という目的の場合はビジネスの狙いはほとんどありません。
先の「自伝出版記念」などの出版パーティーは、本当に著者自身が一生涯を費やした人生の大きな記念として開催されるものですから、目的はもう「本人の栄えある日」として記憶に残るために行われます。これはこれで凄く微笑ましいパーティーです。
パーティーに参加する人はどんな人?
今までに出版パーティーというものに参加されましたか?もしそうならどんな立場でそのパーティー会場に足を踏み入れたのでしょうか?
一般的に、著者が有名な作家や、著名人であるなら、その参加者はかなり多岐にわたります。この著者と関係性を強めたいとする、出版社の人たち。また編集者の人たちもそうです。最近の本には欠かせない挿絵を描くイラストレーターや、本の内容をぐっと引き立たせる写真を撮るカメラマン、また構成作家なども出席しているかもしれません。いわゆる「本を作るうえで必要な人たち」全てがその会場にいると言えるでしょう。
一方で実績が豊富ではなく、著名人ではないけれど、有益な情報を発信するセミナー系の本の出版パーティーの場合は、先の「自己ブランディング」という目的がありますので、友人や知人の割合が高く、エキストラ的な役目で参加している人がいるかもしれません。
そして自費出版などの自己表現のための本の上梓、「一代で築きあげた名物社長の自伝」などの出版パーティーになると、知人・友人はもちろんのこと、親戚・縁者や、自社の社員が動員されて、さしずめ「会社の記念パーティー」の様な賑わいになっているかもしれません。そうなればこのパーティーの参加者は先のそれとは大きく変わってきます。
まとめ
本が売れない時代と言われて久しいです。実際に発行される雑誌はどんどん減少していますし、売れる本と売れない本との差、いわゆる二極化もどんどん進んでいるようです。しかし、本が売れないとはいえ、いや、本が売れないからこそ、出版パーティーというものは今後も開催されるでしょう。どこか華やかで、どこかビジネスの匂いがする、独特のパーティー、それが出版パーティーです。