出版エージェントとは?選び方・職業人

「出版エージェント」という言葉にピンとこない方でも、エージェントという言葉自体は聞いたことがあるのではないでしょうか。
日本語にすると代理人、仲介人などという意味がありますが出版エージェントもまさに文字通り。誰の代理人なのか?それは著者です。
出版エージェントとは、著者の代理人として出版社へ企画を持ち込んだり、著作物の権利管理を代行する業務またはその職業を言います。
国内で出版エージェントを名乗るサービスや職業の多くは、企画の壁打ちや出版社への橋渡し部分に集中したケースが多いようです。

欧米ではよくあることなのですが、著者は執筆だけをし、出版社とのあれこれは代理人が行うのです。日本ではまだあまり出版エージェントという存在自体を知らない人も多いようで、今回は著者として出版エージェントと関わる場合と出版エージェントになるにはどのような人が向いているのか?という職業についてのことを書いて見たいと思います。

著者が出版エージェントを利用する?

例えばある人が過去の経験を元に「転職に関するアドバイス本」を出版したいと考えたとします。その人は元々作家ではありませんので一般に流通させられるレベルのものが書けるかどうか、また転職に関するアドバイス本が世間で求められているのかよく分かっていません。出版しても誰にも届かない本になってしまう可能性が大いにあります。そもそも本を書くことができたとして、どうやって出版したら良いのでしょうか?そこで出版エージェントの登場です!
まず本を書き始める前に出版エージェントに企画書を見てもらいます。どんな本を書きたいのか、どんな層をターゲットにしているのか。それを出版エージェントがチェックをし、添削してくれます。そしていざ、企画がまとまった段階で出版してくれる出版社を「代理人」として探してくれたり、出版社と著者との「仲介人」として橋渡しをしてくれたりします。
業界に詳しくない場合、出版エージェントの力を借りることで印税に関する契約をまとめることができたり、販促時にアドバイスをもらい広告展開などをすることができるわけです。
例えばそれが小説だったらどうでしょうか。完成させた原稿を出版社に持ち込みする必要があります。自費出版の場合は出版できるよう費用などについて相談したり交渉したりする必要があります。それらの交渉ごとの一切を代理で行ってくれるのが出版エージェントです。

ところで、出版エージェントとはどこに所属する人なのでしょうか?
出版社に所属している人なのでしょうか。編集者や出版業界の誰かなのでしょうか。
正解は、出版エージェントという職業の人なのです。出版エージェントを行っている会社の人たちです。
彼らは出版社の人でもなく、編集者でもなく、出版業界の出身者ですらないこともあるようです。ではどんな人がなれるのでしょうか。それは、企画力や人を育てる能力のある人、時代の流れを読むことができる人たちです。

と言うと、出版エージェントが胡散臭く聞こえてしまったかもしれません。残念ながら一言に出版エージェントと言っても、企画力・交渉力に乏しいエージェントも存在します。当然、優れたエージェント、活躍するエージェントもいます。本を出したいと思った方はどうやって「良い」エージェントを探せば良いのでしょうか。(念の為、弊社スタンスとしてエージェント利用を推奨するものではありません。)

良い出版エージェントか見極めるには?

見分け方は幾つかありますが、まずエージェントの実績を見ること。
ベストセラーがあるか?これまで何件くらい手がけているか?自分が出したいと思っているジャンルの書籍(今回は例として転職関係の書籍)を手がけたことがある方なのか。それらはインターネット上で情報を公開している人も多いので見つけることができます。
あるいは、出版エージェントから出版しないかと話しを持ちかけてもらえることもあるようです。それは例えば転職に関するブログやホームページなどを公開し記事を書いていた場合です。ブログが書籍になる、なんていう話は最近は多いのでピンときた方もいるのではないでしょうか。飼っているペットの写真集や、書き綴っていたコラムが出版されることも増えてきました。
そういったある種の「スカウト」を行っている出版エージェントもいるようです。
インターネットの普及によって減少傾向にある紙媒体での出版ですが、一度は書籍を発売したい!と思っている方も少なくないはずです。自分にとって相性の良さそうな出版エージェントを探すことが自身の書籍をベストセラーにする第一歩かもしれません。

出版エージェントになるには?

さて、今度は出版エージェントになるにはどうしたら良いかということを見ていきたいと思います。
上記で出版エージェントは著者と出版社をつなぐ仕事をする方であると紹介しました。
出版エージェントになりたいと思った時、どのようなスキルが求められるのでしょうか。出版エージェントになったからには売れる本を作る必要があります。ベストセラーを生み出す必要があります。それには今の世の中の流れを読み取り、流行や政治的な部分を先読みする能力が求められます。
もし自分が著者側だった場合、どんな出版エージェントにお願いしたいと考えるでしょうか?著者からの信頼を得ることはもちろんですが、これまでの自分の経験が問われ、そして生かされてきます。全く出版とは関係のない仕事をしてきた人でも、例えば企業で営業をしていた方は出版社への売り込みが上手くできるかもしれませんし、市場調査を担当していた人は世の中の流行り廃りをいち早く読み取る能力が高いかもしれません。そう言った自分自身の経験から物事を推測し、的確にアドバイスをすることができる人が、この仕事に向いている人であると言えるでしょう。
また先にも記述しましたが、スカウトをするのも出版エージェントの仕事の一つです。人気のあるブログや記事を見つけ、出版しないかと声をかけること。多くのブロガーは日々の日記を書いているように見えても主張したいことがある人が多くいます。ただの日記であれば書籍化する理由がありませんが、自己満足のように見えて実は同感を得たい、同志のイイネが欲しい。また、中には書籍にして出版したいけれどもどうしたら良いかわからないからとりあえずブログで作品を公表し続けているという方もいますので、そういった方を見つけ出す力も必要な要素であると言えるでしょう。

ブロガーさんに出版を持ちかけるとすれば、事前に著者のライティング能力のレベルについて知ることができますし、もしその方が企業の一員だったら、または経営者であったら、会社の宣伝として出版をしたいと考えているかもしれません。現に経営者と呼ばれる方々で書籍を出版されている方は結構いらっしゃいます。そう言ったことも踏まえて、その「人」を見極め、書籍を出版することができるか判断しなければならないでしょう。
また、出版エージェントとしての自分または会社の実績を作る必要があることも忘れてはなりません。
実績の全くない出版エージェントに信頼を寄せてくれる著者はいるでしょうか。著者側から選んでもらえる出版エージェントになる、ということもとても重要です。一見誰でもなれそうな職業であるからこそ、そこで自分の特色を出す必要があります。出版エージェントは著者にとってはプロデューサーのような役割でもあります。出版する本がベストセラーになる!とまでは思えなくともそれなりの人に手にとってもらえると思っている著者の夢を、夢で終わらせるわけにはいきません。

最後に

ここではエージェントについて見てきました。
出版社の視点になると、エージェントだから(お付き合いがあるから)というケースもゼロではないですが、それ以上に「作り込まれた企画」に育ててくれる点が重要では思います。