出版助成金とは?助成団体の一覧

出版助成金とは?

指定の業界や研究成果を広く世に広めることで、同業界等の発展に寄与するものに対し出版費用の一部または全額を支給する制度や仕組みを指します。

少し難しく聞こえますが、いわゆる商業としては成立しづらいテーマの書籍を出版する際の費用の一部を、民間・公益の団体が補助するものと考えてください。

出版助成金には種類がある

出版助成金はその本来の役割、目的による種類があります。闇雲にお金を出すわけではありません。それは当然でしょう。
では何のために助成するのか?
やはりそこは「広く世のためになる出版なら、そしてその内容が広く社会に役に立つものであれば、その資金を援助しますよ」という高尚なる理念が基本となっています。

ですから、「自伝」や「トレンドコラム集」や「芸能界の裏事情暴露本」などの書籍内容で助成は受けることは難しいでしょう。

では、どんな内容、原稿なら助成を受けることが出来るのでしょうか?その対象と助成元によって出版助成金は大きく3つの種類に分けることができます。

  • 日本学術振興会の助成金
  • 財団などの出版助成
  • 大学の出版助成金

3種類の助成金について

それでは、上記で紹介した3種類毎に、概要と助成団体一覧をまとます。

日本学術振興会の助成金

この助成金は出版助成金の中でもっとも権威あるもので、出版助成金の中心地ともいえるものです。前身の財団法人日本学術振興会は、昭和天皇の御下賜金によって昭和7年に創設されました。約80年にの歴史があります。

事業内容は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野の、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」を発展させることに大きく貢献する独創的、先駆的な研究に対して助成を行っています。

出版助成の中ではその範囲は非常に広く、人文学や社会科学などの文系書籍に対してもしっかりと資金を配分してくれるのが大きな特徴です。研究成果公開促進費(学術図書)が正式な名称となります。

財団などの出版助成

国民生活の発展や向上に寄与する文献や原稿出版、そのような社会的利益や社会発展を願い、多くの公益財団が設立され、その役割を担っています。そのような公益財団は各種の出版助成を実施しています。実施実績のある代表的な財団を以下にご紹介しましょう。

アメリカ研究振興会

日本の学界で活動する研究者によるアメリカ研究で、価値が高く市販性が限られている成果に対して助成

オーストラリア政府 豪日交流基金サー・ニール・カリー奨学金

日本語で書かれたオーストラリア研究論文に対しての出版助成

国際交流基金日本語国際センター

海外において日本語教育のための教材(教科書、辞書、教材、そして教師用の指導書など)。つまり日本と言う国、日本語という文化を海外で広く普及する書籍に助成するという主旨です。

同じ財団でも以下は民間企業のメセナ的活動、社会福祉に準じる活動、そしてその業界の発展に寄与するための普及活動に関する論文、報告書に対する助成を行っているものです。

サントリー文化財団 出版助成

社会科学、人文科学および芸術の分野での論文・学術活動を対象に助成。

住宅総合研究財団

住関係分野における発展や研究、および研究者の育成など「将来の住生活の向上に役立つ内容で、社会的ニーズおよび学術的に高い品質の研究成果や未発表の原稿を対象に助成。

三菱財団

自然科学研究、人文科学研究、社会福祉事業研究など広範囲な分野の論文に助成。

トヨタ財団

国内、国外問わず非常に広範囲な学術的論文や、社会的に有益であると判断される研究成果、またその他バラエティに富む対象にも出版助成を設定しています。

末延財団

東京帝国大学~東京海上火災の会長を経て、財界における多数の要職に就いた「末延道成氏」によって設立された財団。同氏の経済活動の中心となった英米法、比較法の研究論文に助成。

賀川豊彦財団

日本の近代化においてキリスト教伝道、セツルメント、保育事業、労働運動や生活協同組合の祖として日本の社会経済に貢献した同氏の財団。氏の遺志を受け、同様の活動に寄与する論述・原稿に対して助成。

吉田秀雄記念事業財団

この財団の助成対象は他の財団とは異なり、広告、広報、メディアを中心とするマーケティング、コミュニケーションなどの分野に対する研究、報告に助成するもので一般ビジネスの世界の人でも充分に助成を受けることが出来る可能性があります。

大学の出版助成金

最後に3つめの助成分野として大学のそれがあります。
残念ながら、国立大学で助成金制度を持つ大学は東京大学を筆頭に数えるほどしかありませんが、私立大学ではその大学の存在感の維持を目的に、またその大学の独自性の発揮のためにも、非常に多くの助成金が設定されています。

一般的には大学関係者、OB、同学校に所属する研究者、技術者等に対象は限定されているものが多いですが、それでも昨今の大学のブランディングの一環として、外部の人間に対してもその門戸を開く傾向にあります。

現在出版助成を行っている主な大学は下記のとおりです。

  • 立教大学
  • 関西学院大学
  • 法政大学
  • 愛知大学
  • 駒澤大学
  • 札幌大学
  • 立命館大学
  • 上智大学
  • 成城大学
  • 成蹊大学
  • 武蔵野美術大学
  • 学習院大学
  • 國學院大學
  • 奈良教育大学

まとめ

以上、出版の助成金はどこが実施しているのか?どのような種類のものがあるのか?そして出版助成金としてはどのような内容がその対象となるのか?を見てきました。

「出版について助成してくれるところがある」ということを頭に入れておくことは非常に大事だと思います。あなたがもしそのような研究や論文を起こそうとしたとき、それが世の中の役に立つと確信をもって言えるとき、出版助成を一度検討されてはどうでしょうか?