
今回は人事評価、人事評価制度に関する書籍のおすすめをご紹介します。
一般的に従業員数が少ない企業ほど人事評価は未整備で、規模の拡大に伴い必要性が増し、制度を作り、運用するフェーズに移行します。
そのため、当記事でご紹介する書籍も中小企業、スタートアップを読者対象にしたものが中心です。
書影の使用について(出版社様宛)
当記事でご紹介する書影は、弊社で購入した書籍を弊社で撮影し、作成しています。掲載を取り下げる等の処理をご希望の際には、お手数ですが当サイトの問い合わせフォームよりその旨ご連絡ください。
目次
人事評価の本とは?
人事評価の本とは、従業員の能力、成果、企業理念等の理解度などを考課者が評価し、評価結果をもとに給与や賞与、等級や役職、未来の担当役割等を決定する一連のプロセスに関する解説や具体例を記した書籍を言います。
人事評価の実施は、企業や人材の目指す姿を定め、理想像と現在地を比較するモノサシを作り、日常的な状態確認や、四半期や半期等の一定期間毎に振り返りをする必要があります。これらの具体的な工程を学ぶことや、先人の失敗事例から学ぶことに有効な書籍です。
オススメしたい人事評価関連の本一覧
基礎知識のインプットを取りたいケース、実際に評価制度を作り上げていきたいケース、評価制度を狙い通り運用していきたいケース、制度の形骸化を防止したり、既存制度をより良く改良したいケース等、各社状況は異なるかと思います。
概要部に該当書の考え方、推奨手法をまとめています。具体的な手法でおおよその方針がある方は、こちらを参考に選書いただくと良いでしょう。
ここでは3つに分類し、ご紹介します。まずは現在の状況にあった1冊を見つけてください。
おすすめ書籍:人事評価の基礎、総合編
1.人事評価の教科書―悩みを抱えるすべての評価者のために

著者 高原 暢恭
ISBN 978-4845282241
定価 2,200円
概要
人事評価を単なる査定ではなく、人材育成と業績向上のためのマネジメントツールとして捉えることを目的としています。評価者は、客観的な事実に基づき、明確な評価基準を理解・遵守し、フィードバックを通じて部下の成長を促す必要があります。
年功主義、能力主義、成果主義といった人事評価の変遷や、評価制度設計の手順、評価におけるエラー(ハロー効果など)、目標設定の重要性、評価フィードバックの方法、多様性への対応、評価者のサポート体制の構築などについて解説しています。
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2.社員300名までの人事評価・賃金制度入門〈改訂版〉

著者 森中 謙介、山口 俊一
ISBN 978-4502466816
定価 2,860円
概要
本書は、中小企業が成長するため、人事制度、特に評価制度を導入・見直すための入門書です。評価制度については、経営者の評価基準を社員にわかりやすく伝え、製造業、小売業、営業職、事務職など業種・職種別の評価シートの具体例を示すことで、自社に合った制度を完成させるイメージを持てるようにしています。
導入にあたっては、6ヶ月で設計から導入までを目安とし、社内プロジェクトを立ち上げ、各部門のキーマンを巻き込むことが推奨されています。現状分析を通じて課題を明確にし、人事理念を策定することで採用活動にもリンクさせます。
給与制度については、年齢や勤続年数に依存する年功的な給与体系を見直し、評価連動型給与制度を導入することで、社員の貢献度に応じた賃金を実現することを薦めています。評価連動型給与には様々なバリエーションがあり、自社に適したものを選択する必要があります。また、業績給や賞与制度を導入することで、社員のモチベーションを高めることも可能です。
その他、高年齢者雇用安定法に対応した人事制度の構築や、パート・アルバイト社員に対する教育・評価制度の整備についても触れています。
制度導入後には、社員説明会を実施し、制度内容を共有するとともに、経営課題解決型の人事評価を行うことで、社員の意識改革を促し、組織全体の成長につなげることを目指します。
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3.この1冊ですべてわかる 人事制度の基本

著者 西尾 太
ISBN 978-4534059536
定価 2,200円
概要
人事制度は社員の給与を決定するだけでなく、企業と社員のベクトルを合わせ、理念を実現するためのものであり、社員の成長と会社の成長を促すことを目的とします。日本型雇用慣行は、戦後の高度経済成長期には有効でしたが、現代においては見直しの段階にあります。
人事制度を設計する上で、「人事ポリシー」、つまり企業の従業員に対する考え方を明確にすることが重要です。人事ポリシーは、経営者とのコミュニケーションを通じて明確化され、人事施策の一貫性と継続性を確保する上で不可欠です。
人事制度の設計においては、成果と行動を重視し、年功や勤続、年齢、生活保障といった要素は考慮しないという考え方が主流になっています。給与や賞与は、社員への投資と精算という概念に基づいて支給され、基本給は投資価値、賞与は精算価値により決定されるべきです。
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おすすめ書籍:人事評価制度の作り方編
4.改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方

著者 山元 浩二
ISBN 978-4866671819
定価 1,760円
概要
中小企業が人材育成と組織の生産性向上を実現するための人事評価制度の構築・運用について解説しています。特に、「ビジョン実現型人事評価制度」の導入に焦点を当て、その目的、効果、具体的なステップ、運用方法を詳細に説明しています。
ビジョン実現シートを活用し、経営理念、基本方針、10年後の社員人材像などを明確化し、全社員に共有。評価基準は、業績・成果・能力・情意の4つの視点から構成。 評価は三者で行い、育成面談を通じて成長目標を共有します。 四半期評価を実施することで、社員の成長スピードを加速。
顧客管理と顧客育成の仕組みを構築し、戦略的な顧客育成を支援します。 リーダーシップを育て、女性が活躍できる組織づくりも目指します。人事評価制度の導入と運用を通じて、組織の成長を実現するための実践的な内容です。
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改訂前は、CD-ROMがついたタイプでした。
図解 3ステップでできる 小さな会社の人を育てる「人事評価制度」のつくり方 CD-ROM付
おすすめ書籍:人事評価制度の運用編
5.図解でわかる! 失敗しない人事制度の運用のしかた

著者 小林 傑、山田 博之、野崎 洸太郎
ISBN 978-4910286396
定価 2,420円
概要
人事制度の運用における課題解決と改善策を解説しています。人事制度運用でよくある課題は、従業員の制度理解不足、目標設定の具体性不足、評価フィードバックの未実施、評価のメリハリ不足、評価者による評価視点のバラつきなどです。 改善策として、ガイドブックや評価マニュアルの作成・配布、制度説明会の開催、評価者・被評価者へのトレーニングが重要です。目標設定にはSMART目標やKPIツリーを活用し、評価フィードバックでは具体的な根拠を示し、できたことと改善点を公正に伝えることが大切です。 定期的な組織サーベイで課題を把握し、HRBPが経営戦略と人事制度を連携させることが理想です。
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おすすめ書籍:中級者向け、転ばぬ先の杖
6.人事の超プロが明かす評価基準

著者 西尾 太
ISBN 978-4837926092
定価 1,650円
概要
企業は従業員に対し、年齢や職位に応じた期待を持ち、それに応じた能力開発や行動を求めています。(想定読者は人事だけでなく、一般従業員も想定された書き方だと感じる。)多くの企業で評価基準が曖昧なため、45項目のコンピテンシー(行動特性)を評価基準として用いることが推奨されています。人事評価には人材育成という視点が必要であり、若手社員の早期離職を防ぐためにも、キャリアステップの明確化や適切な評価が重要です。30代ではタスク管理とヒューマンマネジメント、40代以上では戦略立案能力が求められます。キャリアの選択肢として、オペレーター、オペレーションマネージャー、スペシャリスト、コアの4つがあり、自身の価値観や目標に応じて最適な道を選ぶべきとの内容です。目標を紙に書き出すことで明確化し、具体的な行動計画を立てることが推奨。
終身雇用は期待せず、自己成長を続けることが重要であり、資格だけでなく、普遍的なコンピテンシーを身につけ、会社や社会に提供できる価値を追求すべきとの内容です。
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7.新標準の人事評価 人が育って定着する〈二軸〉評価制度の考え方・つくり方

著者 安中 繁
ISBN 978-4534059383
定価 2,420円
概要
中小企業の成長に不可欠な人材育成に焦点を当てた人事評価制度、「マトリクス人財育成制度」を詳しく解説しています。 従来の職能等級制度とは異なり、社員の個性を最大限に活かし、組織全体の活性化を目指す二軸評価(職務遂行能力と組織貢献度)を採用。
本書では、評価基準やキャリアパスの設計、賃金テーブルの作成方法など、制度導入の具体的なステップをわかりやすく解説しています。 また、社員のモチベーション向上、定着率アップ、そして多様な働き方を支援する週4正社員制度との連携についても紹介。
経営者や人事担当者にとって、自社の成長戦略に合わせた人事評価制度を構築し、社員一人ひとりが輝ける職場を作るための内容で、 人材育成を重視し、組織全体のレベルアップを目指す企業にあった内容です。
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8.中小ベンチャー企業を壊す! 人事評価制度 17の大間違い

著者 白潟 敏朗
ISBN 978-4799111284
定価 1,760円
概要
中小・ベンチャー企業向けに、人事評価制度のよくある間違いを指摘し、その本質は人事評価シートの作成ではなく、評価者である幹部・管理職や人事評価面談にあると解説しています。
人事評価制度が上手くいかない理由として、
•人が人を評価することの難しさ•社長の期待が高すぎる、または認識のずれ•社員の昇給への期待に応えきれない•MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に賛同していない社員の存在、という5つの原因を挙げています。
資料では、人事評価制度に関する17の誤解を解説し、適切な認識を持てるようにすることを目的としています。 「この指とまれ経営」(社長の想いに賛同する社員との全員参加型経営)の重要性も説いています。 人事評価制度の構築・改良のポイント、導入時のポイント、そして具体的な改良手順も紹介し、組織の状況に合わせて柔軟に制度を設計・運用することの重要性を強調しています。
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まとめ
粗雑な制度を作り、曖昧に評価すれば、従業員は離れていきます。
そうならないためにも、企業の目標、優秀な人材の定義、優秀さの程度を測るモノサシ、評価する人間の教育と、一連の準備や制度設計を進めていきましょう。
先人の知恵を手軽に吸収できる書籍を購入し、効率よく失敗を防ぎながら制度作りを進めてください。(多くの方が書籍を購入し、本と向き合う時間が増えますように。)