「海からの呼び声 ―シャチと老船長の物語―」を発売


著者名:二郷半二
ジャンル:文学・評論
発売日:2024/9/18
販売ページ:Amazon

書籍概要

「地球は生きているの… …、でもいま熱を出して苦しんでいるの… …」という、生前の母親の言葉をバリー・ウェストンが思い出したことからこの物語は始まる。

長くニューヨークのウォール街で権勢をふるってきた男、バリー・ウェストンは、約半世紀前に聞いたこの母親の言葉が、深い洞察力に富み、将来を暗示する言葉だったのだということに、引退後に気づくことになる。
ここからバリーの「子供たちの未来」を守るために、「何をなすべきか」を探す旅が始まる。

バリーは、ウォール街で同僚だったロッド・スタイナーを30年ぶりに訪ねる。彼は稀有なことに、貧しい中にも自分を見失うこともなく、そして生きるための現実に歪められることもなく、画家として清貧の中に生きる人生を送っていた。
ロッドはバリーに、ウォール街を若い頃に去った友人のクリス・ウォーケンの名前を告げる、自分より層倍厳しい人生の試練を課された男として。
クリスは若い時に、自分の未熟さ、非情さにより、愛した妻と娘を失うという、究極の不幸に出遭った男だった。

彼はその不幸に耐えきれず、すべてを忘れるために北へ行き、船に乗ることを決意する。それ以降、彼の時間は「生きるという事実が即ち罰」という過酷な人生に変わる。
そんな中で旧友の依頼でジニーという、孤児になる七歳の女の子を引き取ることになる。
そのジニーの存在がいつしか、クリスの中では、人生唯一の生きる光明になっていく。
そんなクリスの生活の中に、突然バリー・ウェストンが入ってくる。

或る日、船縁に立っているクリスに一頭のシャチが好奇心に駆られて近づいてくる。
まさかこのシャチが、絶体絶命のクリスの命を救うことになるとは、また船の乗員の運命を変えることになるとは、この時にクリスも、このシャチも気づくことはなかった。
しばらく経った或る日の事、クリスは歯のある生き物としては地上最大の、しかも二本の銛を撃ち込まれた、手負いのマッコウクジラに遭遇する運命の日を迎えることになる。

ジニーの命を守るためにクリスはどのように動いたのか? 母親の言葉を遺言として「子供たちの未来」を守るために生きるバリーは、どのように人生を全うするのか? ロッド・スタイナーのこの二人に対する影響は? またジニーはどのように成長していくのか?

それぞれの強烈な個性が交錯し、物語は最終盤へとつづいていく。

著者紹介

大手総合商社、大手重工メーカーを退職後、貿易会社を経営しながら複数の一部上場企業及び海外官庁のコンサルタントを兼任する。
海外生活はカナダでの社会人生活を含め、ヨーロッパ及びアジア五か国以上での豊富な生活体験を有する。
2008年以降は仕事をコンサルタント及び現地エージェントに特化し現在に至る。