著者名:平野俊彦
ジャンル:文学
発売日:2023/3/3
販売ページ:Amazon
書籍概要
一九三八年春、関東軍特務機関の金子中尉は、ナチスの迫害から逃れてきた三人のユダヤ人音楽家を満州で保護する。彼らはメッセル夫妻とその知人のバーナードで、いずれも日本への入国を望んでいた。
一方関東軍の犬塚大佐は、部下の徳永と共にユダヤ人追放をもくろんでいた。金子は部下の傳田に、ユダヤ人を警護し彼らの住居探しを手伝うよう命令する。ユダヤ人達が、入居予定のアパートに行ってみると、密室のアパート内で後頭部を殴られて死んでいる徳永を発見する。中国人の男が逮捕されるが、事件の全容は謎のままだった。
やがてユダヤ人たちは日本への入国を許され、東京の金子邸に落ち着く。金子には、安岡財閥の娘で真佐子という婚約者がいたが、その安岡邸裏の防火用水置き場でバーナードが銃殺される。現場は三方を塀でまた一方を道路で囲まれていたが、巡査が道路から駆けつけると犯人の姿はなかった。一方、軽井沢にある旧子爵邸内の離れ小屋では、犬塚大佐の縊死体が発見される。小屋のドアや窓は全て内側から施錠されていた。
長野県警の才之原は、満州の密室アパートで起きた徳永撲殺事件、東京の安岡邸裏で起きたバーナード射殺事件、および犬塚縊死事件にある共通点を見出し、これらの事件の真相を解き明かすべく真佐子のいる軽井沢の安岡家別荘へと向かう。
著者紹介
平野 俊彦(ひらの としひこ)
一九五六年生まれ、足利市出身。東京薬科大学名誉教授。薬学博士。専門は臨床薬理学、移植免疫抑制薬の薬力学。
「報復の密室」(講談社)で島田荘司選第十三回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、文壇デビュー。他に、「幸福の密室」(講談社)、「安楽死幇助師キリコの暗雲」(文芸社)等の著作を発表。