著者名:サクマ・ユウキ
ジャンル:お墓・供養
発売日:2021/4/12
販売ページ:Amazon
書籍概要
いわゆる「終活」の一環として、故郷にある先祖代々のお墓を「墓じまい」したいと考える人が少なくありません。墓じまい後の遺骨の行き先として、これからも供養を続けるために自宅近くにお墓を建てる家族がいる一方で、「子どもにお墓のことで負担をかけたくない」という理由から、維持費がかからない永代供養墓(合葬墓)に改葬してしまうケースも見受けられます。
墓じまいはお墓を持たなくするという意味ではなく、墓地を更地に戻して管理者に返還するという、改葬の一工程に過ぎません。つまり、遺骨を移して別の場所で供養を続けるということです。お墓の承継者がいるにもかかわらず、「ご家族に代わって寺が供養します」などというキャッチコピーで販売されている永代供養墓に遺骨を移すことは、単なる供養放棄だと言わざるを得ません。他人の遺骨と一緒にされてしまう永代供養墓に納めてしまった遺骨は、原則二度と取り戻すことはできないのです。
本書では、終活に関心のある団塊世代とそのジュニア世代が生きた時代を振り返りながら、故郷の変化とそこで生じているお墓の問題を取り上げます。そして、墓じまいの誤解を解くために、お墓の負担を「金銭的」「身体的」「精神的」の3つに分類し、それぞれの負担を軽減するための方法を石屋の立場から紹介します。
3つの負担を混同させてしまうと、家族にとって大切な供養の場を、誤って無くしてしまう危険性もあるのが墓じまい。終活世代の供養放棄的な墓じまいによってお墓を奪われるのは子や孫です。家族や故郷とのつながりを体感するお墓は、自分のルーツにも通じる場所。子や孫は、お墓と向き合うことで生きる意味を確認し、人生の困難を乗り越えていく―
お墓の価値を再考する一冊です。
著者紹介
サクマ・ユウキ
1981年生まれ。東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科卒業。
真壁石などで知られる日本三大石材産地のひとつ、茨城県桜川市で石材業界に入る。
石材卸問屋で、海外墓石工場と首都圏の石材小売店とをつなぐ墓石設計業務に従事。その後、お墓を建てようとするご家族と直接向き合って仕事がしたいとの想いから、都立八柱霊園門前の石材店に入社。営業担当として、ご施主様の建墓に携わる。同時に、お墓の承継や墓じまいの相談が多いことに問題意識を持ち、供養を続けるための方法や、負担を減らすお墓とはなにかを考え始める。
石材人としての役割を自ら果たすべく、「ご家族の円滑な代替わりに貢献し、美しい日本の風景を次代へつなぐ」を経営理念に掲げた石材店「設計舎サクマサーベイ北総」を創業。墓石販売ではなく「お墓づくり」の視点から、ご家族が抱えるお墓問題の解決に取り組んでいる。